死神の浮力
ハードカバーで買ったのに、何度も最初の方だけ読んで離脱してた本。
むかし大好きだった伊坂さん。大学生のころはそれそこ読み漁っていたのに、ちょっと作風が変わったのか、最近は怒濤のいきおいでは読み進められなくなってしまった。
でも、今回の死神の浮力は、死神の精度の続編。
死神の精度は、過去の伊坂作品の中でも1、2位を争うくらい好きなので、改めて期待して読んでみた。
3年前に購入した本をやっと読み終わったので、感想を。(若干ネタバレあり)
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あらすじ
娘を殺された作家の山野辺とその妻。犯人の本城は逮捕されている、が無罪判決が下る。自ら復讐を行う計画を立てていた。そこへ、人間の生死をジャッジする死神の千葉が現れ、その復讐計画に同行することになる。
もちろん山野辺夫妻は、千葉の正体が死神だとは知らない。クールで掴みどころのない千葉を不思議に思いながらも、なぜか受け入れ自分たちの復讐を手伝ってもらう。
どう展開するのか、復讐は成功するのか、山野辺の生死はどうなるのか、生きること・死ぬこと・命とは、、とミステリーやエンタメとしても楽しめ、生きることについても考えさせられる伊坂さんらしい作品。
感想
前作「死神の精度」を読んでいる人には、ぜひオススメしたい本。
「死神の精度」を読んでいない人は、死神界のルールを知ってから読んだほうが面白いかなと思う。
主人公と父との関係
娘を殺された山野辺。犯人に対し司法の裁きではなく自分と妻とで、その復讐をするための1週間が描かれている。
復讐をするために、生きているといっても過言ではない1週間。その中で「命」「生きること」に向き合う山野辺。
子どもというのが、いかに特別で大切であるかを思い知った山野辺が、家庭を省みなかった自分の父との回想シーンが、登場する。
その父とのやり取りが胸にくるものがあって、良かった。
命延長キャンペーン
ほとんどの死神が調査対象をきちんと調査もせず『可』(死神が可と報告すると、人間は死ぬ)としてしまう。
そのせいで、人間の寿命のバランスがおかしくなり、本部からは命延長しても良いよ(要はちょっと死ぬ人間を減らしたい)ということを言ってくる。
これが伏線になっていたのは、おおー、さすが伊坂さん!という感じだった。
前作は越えない
期待をして読んだものの、やっぱり前作は越えるようなワクワク感や爽やかな気分にはならなかったなぁと。
死神の精度の、人間と人間の常識が通じない、死神の千葉のチグハグなやり取りがにやっと笑ってしまうような、ちょっとコミカルでシュールな内容が良かった。
今回もその面白さはあるものの、前回ほどではなかったのが正直なところ。
まとめ
前作よりイマイチと書いたものの、ここ1・2年で読んだ伊坂作品の中では一番よかった!
最近の伊坂作品ちょっとピンとこないんだよね、、と思って伊坂離れしている人にはぜひともおすすめしたいです。
あの頃の伊坂さんを感じられる作品だと思います。
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