元々、病気で人が亡くなるお涙ちょうだい系の小説はあまり好きでなく
(たとえば、世界の中心で愛をさけぶとか、でも大体泣きます)
あまり期待せずに読み始めはじめた前提があります。
▼スポンサーリンク
感想
まず、タイトルで重々しいかんじを想像していたけど、だいぶ爽やかな感じでした。
ヒロインの女の子(咲良)がキャラクターもあいまって、テンポよく進んで行くところが読みやすくてよかったです。ほかの方の感想を読んで、「ラノベっぽい」と多数書かれていましたが、確かにと思います。
そんな感じの読みやすさ。
なので、普段小説を読まない人にもおすすめできるライトさでした。
物語中盤から泣きっぱなし
意外と早い段階から泣き始めました。咲良が亡くなること自体はしょっぱなからわかっているのですが、その死に対する涙というよりも、その死を目前にした咲良と対峙している、主人公の少年の心の変化と成長に涙したような感じでした。
この手の人が死んでしまう系の小説は、
『生と死』がテーマになっていることが多くて、生きているって素晴らしい、生きているうちに周りの人に愛を伝えよう。みたいな結論のものが多い気がするのですが、、
君の膵臓を食べたいは少し違っていて、
『死はすべての人に平等』ということと、『人は共存することで、人間になる』というテーマだったと思います。これは、いままで読んできた悲しい系の小説とは一線を画しているように思います。
これ系は大体読み終わったあと、どよーんと暗くなってもっと毎日を大切に生きねば・・・みたいになることが多いのですが、意外と清々しい爽やかな気持ちになったのが意外でした。
主人公の男の子の名前
作中でずっと、主人公の名前が出てこないというのが斬新でした。
【地味な同級生くん】だったり、【仲良しくん】だったり、相手との関係性でどう思われているか、が名前のところに当てはまってくる、という表現が面白かったです。
読み進めていくとわかるのですが、この小説の軸として
『人は一人では生きていけない、周りと共存することで生きている』というテーマがあります。
そのテーマにそって、周囲の人の見え方によって自分は変わっていくというのを表現していたのではないかと思います。
究極の関係性
咲良と少年は形式的には恋人同士にはならないで物語は終了します。
なので涙と感動の、史上最高の愛みたいなのを感じたい人にとってはちょっと物足りない小説だと思います。
でも、恋人という形が究極なのかと聞かれるとそうでもなくて、この二人にとってはこの付き合ってはいない、形式に囚われた形ではない、なんの肩書きもないけどお互いがお互いを必要としている、そんな関係性がむしろ究極なのだと思いました。
実写版について
まだ、実写版見ていません。どう映像化されているのか気になります。
主人公の名前を呼ばないところ。原作では高校生で完結している物語を20代後半(おそらく)までどう続けるのか、が気になるところです。
映画館で見るかは悩みどころですが、、
タイミングがあえば見ようと思います。
そのほか
作風が似ている、という訳ではないですが、なんとなくアサイリョウとか好きな方は読みやすいのではないかと思います。若い作家さんという共通点があって、なんとなく作品の空気感だったり、出てくる登場人物のいまっぽさが似ているのかもしれないです。
冒頭にも書きましたが、ページ数も少ないですしテンポよくさらっと読めるので、気になっている人は読んで損ないと思います。
▼スポンサーリンク
コメント